第13回「アレルギー予防の観点からみる腸内細菌vol.2」 | オーエム・エックス博士の知恵袋

こんにちは!
いつも弊社のメルマガを読んでいただき、ありがとうございます。
オーエム・エックスの社長の高畑宗明(農学博士)です。

みなさまにご愛用いただいている生酵素「OM-X」は、乳酸菌で発酵させた
植物発酵食品です。今、新しい乳酸菌を発見するために色々な食材や発酵
食品を選抜し、実験をしています。この研究によってさらに効果の高い乳
酸菌が発見されれば、より機能性の高い「OM-X」の製造に結びつくと考え
ています。自分の手で新しい商品を開発することはとてもワクワクするこ
とですし、その商品をみなさまのお手元にお届けできることを楽しみにし
ています。

さて、2回に渡りアレルギーと免疫、さらには乳酸菌や腸内細菌との関連に
ついてお伝えしています。前回は免疫細胞とアレルギーの関係についてお
話しました。今回は、世界的に行われている数々の臨床的の中から選抜し
て、アレルギー予防に対する乳酸菌を用いた取組みなどをご紹介してまい
ります。

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 第13回 『アレルギー予防の観点からみる腸内細菌vol.2』
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前回のメルマガでもお伝えしたように、アレルギー性疾患とは外部からの
異物(花粉やホコリ、ダニなどさまざま)に対して、体の免疫が過剰に反
応してしまうことを指します。この時に過剰に反応してしまう免疫細胞の
代表が「Th2細胞」です。

通常、新生児期の免疫反応はTh2細胞が優位に働くようになっています。
そこから本来は、成長に伴って様々な微生物や異物に触れることで、Th2細
胞を抑制する「Th1細胞」が働くようになります。しかし近年は衛生環境の
改善や過剰な清潔思考、また感染症のリスク低下によって多くの微生物に
触れる機会がなくなり、結果として Th2細胞が過剰なままアレルギーリス
クの高い状態が維持されることになっているのです。


 感染性微生物に代わりプロバイオティクスを!



こうした現状を改善するために、まずは子どもを外に連れていって自然と
触れ合う遊びをさせることが大切でしょう。土や川、森や海にも多くの微
生物が住んでいて、こうした環境の中で遊ぶことが体を強くしていきます。
しかし、感染症リスクが低下したからといって、「感染症にかかりましょ
う」という分けにはいきません。そこで、感染性微生物に代わり「Th1細
胞」の発達を促す安全な刺激として、「プロバイオティクス(乳酸菌)」
が注目を集めています。

まず、「プロバイオティクス」についておさらいをしていきましょう。プ
ロバイオティクスは1989年に『腸内微生物のバランスを改善することによっ
て、宿主動物に有益に働く生菌添加剤』と定義されました。要するに、
「生きたまま体の中に摂取した際に、私たちに有用な働きをする微生物」
という意味です。よく「プロバイオティクス」=「乳酸菌」と考えられて
いますが、実は正確ではありません。「有用な働き」という面では、乳酸
菌やビフィズス菌の他に、酢酸菌や酪酸菌、納豆菌や酵母なども含まれま
す。ただし、代表的なのは「乳酸菌」ですので、ここでは「プロバイオティ
クス=乳酸菌」としてお話します。

このプロバイオティクスを、アレルギーの予防や治療に用いるための臨床
試験が世界中で行われています。そこで、その内容をいくつかご紹介して
いきます。


 プロバイオティクスとアレルギーリスクの臨床例


1) アトピー性皮膚炎患者の腸内細菌叢

アトピー性皮膚炎の患者では、腸内細菌叢のバランスが崩れているという
報告があります。アトピー性皮膚炎患者の腸内細菌はBifidobacterium(ビ
フィズス菌)の菌数が少ないことが分かっています。また、スウェーデン
やリトアニアの報告では、2歳の時点でアレルギー児はLactobacillus(乳
酸菌)やBifidobacterium(ビフィズス菌)、またバクテロイデス菌が少な
いという結果が示されました。

2) 妊婦への乳酸菌投与による子どものアレルギー発症リスク

家族にアトピー発症歴の方がいる妊婦159名に、出産前から出産後授乳期
間中、さらに出産後の子どもに乳酸菌(Lctobacillus rhamnosus)を飲用
させる実験が行われました。その結果、2歳時におけるアトピー性皮膚炎の
発症率は、プラセボ(偽薬)と比較して半減するという結果が得られてい
ます。また、この研究は4歳時および7歳時でも追跡して調査が行われ、
乳酸菌摂取によるアレルギー発症抑制効果は維持されていました。この結
果、アトピー性皮膚炎の高いリスクの乳幼児における早期予防に乳酸菌が
効果的であったと発表されています。

3) 鼻アレルギーに対するプロバイオティクスの効果

スギ花粉症患者22人に乳酸菌(Enterococcus faecalis)を摂取させたと
ころ、プラセボ(偽薬)と比較して症状が有意に改善されたという報告が
出されています。また、他の研究でもスギ花粉症患者に乳酸菌
(Lactobacillus acidophilus)を用いた食品を食べてもらったところ、症
状が改善されたと発表されています。その他にも、ビフィズス菌投与によっ
て花粉シーズンの目、鼻などの自覚症状が改善されたという結果も報告
されています。


 大人になった後は腸内細菌叢の改善が大切


上にいくつかの臨床的な事例をご紹介させていただきました。この他にも
世界中で数多くの乳酸菌を用いたアレルギーに対する臨床試験が発表され
ています。しかし、その多くが「乳幼児期」に特化した試験であることも
付け加えておかなければなりません。

前回もお伝えしましたが、私たちは生前お母さんのお腹の中では無菌状態
です。生まれた後に生活を通じてさまざまな微生物に触れることで、腸内
細菌のパターンは作られていきます。そして、大人になると1000種類1000
兆個といわれる微生物がお腹の中に一緒に住むようになります。乳酸菌投
与によるアレルギー発症リスク低減の試験が乳幼児期に多いのは、「腸内
細菌パターンが未熟なうちに乳酸菌で刺激を与えて免疫を強化する」こと
を目指しているからです。逆に言うと、大人になり腸内細菌が確立されて
しまうと、外から摂取する乳酸菌は「異物」として認識されて排除されて
しまうため、その効果を発揮することは難しくなります。

もちろん、大人になった後にプロバイオティクスを摂取することは大切で
す。お腹の中に定着できないとしても、乳酸菌の細胞自体が免疫細胞を活
性化することが明らかになってきています。そのため、継続的に乳酸菌を
摂取することは、アレルギー発症リスク回避に有効であると考えられます。
この場合は、菌が「生きていても死んでいても」大きな違いがありません。
乳酸菌の「細胞成分」が効果的なので、生死は影響しないのです。

OM-Xの発酵に使用されている独自の乳酸菌「Enterococcus faecalis
TH10」の死菌体は、Th1細胞を活性化することでTh2細胞過剰の免疫バラン
スを整えることがマウスレベルで実証されています。また、現在この反応
が体の中でどういった経路で導かれているのかを研究している真っ最中で
す。

また、腸内細菌のバランスを整えるためには、バランスの良い食生活をす
ることが大切です。なぜなら1000種類存在する腸内細菌は、それぞれ生き
ていくために必要な栄養素が異なるからです。また、プレバイオティクス
と呼ばれるオリゴ糖や食物繊維を積極的に取り入れることも必要です。そ
して、植物性の発酵食品も体の中の乳酸菌やビフィズス菌のエサとなり、
腸内細菌を整えることに繋がります。

OM-X中のオリゴ糖や食物繊維、微量元素は乳酸菌やビフィズス菌のエサと
しても有効に働きます。乳酸菌やビフィズス菌を育てる時にOM-Xを混ぜる
ことで、生育が顕著に促進されることが示されています。OM-X中のTH10菌
や成分の実証結果は、全ての人に有効であるという結果ではありませんが、
継続的に摂取することで健康の維持にお役立てできるものと考えています。

花粉などが原因で鼻がムズムズする、アトピーによって肌が荒れやすいな
ど、何らかのアレルギーで悩まれている方。また、これから発症しないた
めに予防に積極的に心掛けてらっしゃる方。ぜひ、食生活を見つめ直し、
また発酵食品を毎日摂取して、腸内細菌のバランスを保つための生活を目
指して行きましょう!