第31回 『時差ぼけ対策には体内時計のコントロールが大切!』 | オーエム・エックス博士の知恵袋

こんにちは!
いつも弊社のメルマガを読んでいただき、ありがとうございます。
オーエム・エックスの社長の高畑宗明(農学博士)です。

先日、『OM-X』のメーカーであるバイオバンク主催で、年に一度の世界会
議が開催されました。11回目となる今回は、オーストリアのウィーンが
舞台。今年も世界中の多くの『OM-X』販売代理店の方々が一同に介し、各
国の状況や研究データについて議論が行われました。私も研究者として参
加し、この一年間に行った様々な研究内容について発表を行いました。内
容についてはまだ公表前なので詳細はお伝えできませんが、とても素晴ら
しい結果であると各国の方から賞賛の声をいただきました。一日でも早く
みなさまにもお知らせできるように、論文への投稿準備を進めております。

さて、年に何度か海外に訪問する際に、どうしても悩まされるのが「時差
ぼけ」です。私が外国と日本を行き来するようになってから10年が経過
しますが、20代の頃はそれほど影響を感じなかったのが、30代を過ぎて
から少しずつ体に変化を感じるようになってきました。先々月、第28回
のメルマガで「自律神経と体内時計」についてお話をしましたが、時差ぼ
けにも「体内時計」が大きく関わっています。海外に旅行に行かれる方も
多いかと思いますので、今回は時差ぼけのメカニズムと、その対策法につ
いてお伝えいたします。

==================================
 第31回 『時差ぼけ対策には体内時計のコントロールが大切!』 
==================================

 どうして時差ぼけが起こるのでしょうか?


頭がぼーっとする、昼間は眠いのに夜は眠れない、熟睡したつもりでも時
計を見たら1時間しか経っていないなど。海外に行った際に少なからぬ人
がこうした「時差ぼけ」の経験をされているのではないでしょうか。そし
て、睡眠関連の症状に加え、頭痛、眼精疲労、胃腸不良や食欲不振などの
症状が起こることもしばしばあります。

「時差ぼけ」という言葉は一般名称で、医学的には「時差障害」といいま
す。国際的な診断基準に従うと、次の3項目が時差障害に当てはまるよう
です。

1. ジェット旅客機に乗って、少なくとも3時間以上の時差がある場所へ
旅行したときに、不眠や過眠を自覚する。
2. 旅行後1~2日以内に、昼間の心身の機能が落ちたり、全身がだるく
なったり、胃腸障害などの体の症状が出る。
3. その睡眠障害は、他の睡眠障害や内科・精神科的な病気、薬物の使用
などでは上手く説明できない。

それでは、なぜ時差ぼけが起こるのでしょうか?その最大の原因は「体内
時計」の乱れによるものです。人間の体内には1日の生活のリズムがあり
ます。ある時間になるとお腹が空き、夜になると眠くなり、朝になると目
が覚めるというサイクルを日々繰り返しており、このリズムを「体内時
計」と呼んでいます。

飛行機で時差がある地域へ短時間で移動すると、体が活動的な状態なのに、
現地では寝る時間であったり、逆に体は体温が下がって寝る準備をしてい
るのに、現地では1日の始まりを迎える時間であったりします。こうした
急激な時差に体が対応しきれず、リズムを司る体内時計が乱れてしまうの
です。そうして、体内時計にコントロールされている睡眠・覚醒、体温、
ホルモン分泌などの各生体リズムがバラバラになってしまうのです。


 西行きと東行きのフライト、どっちが楽なのでしょうか?


日本からハワイやアメリカへ向かうことを東行きフライト、ヨーロッパ方
面へ行くことを西行きフライトといいます。私たちの体内時計は、正確に
は24時間よりも少し長い周期で回っていますので、東行きは体内時計の
調整がしにくく、時差ぼけの症状が強くなる傾向があります。一方、西行
きは体内時計の調整がしやすいので、症状が軽いことが多いようです。

また、時差が大きくて飛行機に乗っている時間が短い行き先であるほど、
時差ぼけになる確率と度合いが上がります。例えば、今回会議があったヨ
ーロッパのウィーンと日本の時差は-7時間で、飛行機に乗っている時間
は約12時間。日本とハワイの時差は-19時間ですが飛行機に乗っている
時間は約7時間です。この場合、ハワイはヨーロッパよりも時差ぼけが辛
い傾向にあります。

ヨーロッパと日本との場合、時差に対して飛行機に乗っている時間が長い
ため、体が機内で体内時計の調整をする時間が十分にあります。一方で、
ハワイの場合は時差がかなり大きいにも関わらず、機内で体の体内時計を
調整する時間がとても短いことが理由です。

また、症状が軽い人と重い人の違いもあります。次の3つも時差ぼけの症
状に影響を与えます。

・朝型と夜型
朝型人間は夜型人間よりも時差ぼけの症状が強く出ます。これは、朝型人
間の体内時計が、生活リズムの変化に順応しにくいためと考えられていま
す。
・年齢
若い人に比べて中高年者は、時差ぼけによる睡眠障害や日中の眠気・疲労
感が強く、睡眠効率も悪くなります。また回復も遅くなってきます。
・性格
神経質な人や内向的な人は、時差ぼけの回復に時間がかかります。人と会
話をしたり仕事をしたりすると体内時計の調整が早く進みます。内向的な
人は、こうした同調部分が苦手なため、時差ぼけ症状が長引きます。


 時差ぼけ対策のための体内時計コントロール法


旅行先でしっかりと海外を楽しめるように、時差ぼけ対策は大切です。現
地の時間にいかに早く体内時計を合わせられるかがポイントになります。
以下の点を参考にしてみてください。

・行きの飛行機に乗ったら、すぐに腕時計を現地の時間に合わせる
残り何時間、というように、飛行機の中で何度も時計を見ることがありま
す。その際に、現地の時間で判断することが大切です。到着時刻に合わせ
て寝るようにし、機内にいる時から現地時間で過ごすことで、到着後も比
較的スムーズに時間の調整が可能になります。

・機内食はしっかり食べる
体内時計は食べ物を食べる時間と大きな関わりがあります。そのため、決
まった時間に食事を取ることで、体内時計をコントロールすることができ
ます。機内食が出されるタイミングは、到着地の時間を考慮した時間に提
供されています。そのため、お腹が空いていなくとも機内食は食べる方が
体内時計のコントロールのために良いのです。以前、食べない方が良いと
聞いたこともあり、自分でも試してみましたが、食べた方が楽に到着地の
生活に馴染めました。

・太陽光をしっかり浴びる
体内時計は太陽の光によっても調整されています。そのため時差ぼけかも
しれないと感じたら、早朝に太陽の光を浴びましょう。朝の陽の光を浴び
ることで乱れた体内時計を修正することができます。海外に行ったら、眠
たくても朝起きて散歩をすることが時差ぼけの解消につながります。もち
ろん、これは日本にいる時でも同じですね。

私は物音があるとあまり眠れない性格です。機内は飛行機の騒音や、周り
の人の動く物音などがあり、これまでうまく眠れませんでした。そこで今
回活躍したのが「ノイズキャンセリング型ヘッドホン」です。これは騒音
とは逆の音を作り出し、騒音を打ち消す仕組みのヘッドホンで、周囲の音
をかなり低減してくれます。少し高額な買い物でしたが、眠れなかった機
内で6時間近く眠ることができ、これからも活躍してくれるはずです。

その他、目に入る光を遮断し、睡眠を促すメラトニンを分泌させるために
アイマスクをすることも効果的です。また、フライト前日を少し睡眠不足
にすることや、飛行機に乗る前に強い日差しを浴びないこともおすすめで
す。体内時計が崩れると、自律神経バランスも乱れて腸の状態も悪化して
しまいます。お腹の調子を整えるために、現地の水や食べ物に気をつける
と同時に、体のリズムにも注意を向けましょう。海外の景色や食をしっか
り楽しむためにも、時差ぼけ対策をしっかり行ってください。