【最新研究情報】腸は免疫の最前線 がん細胞と戦う免疫機能

前回の月刊誌の特集では、私たちの体にがん細胞ができる原因についてお話させていただきました。私たちの体の中では、毎日5000個以上もの「がんの予備細胞」が生まれています。この数を聞くと、結構驚かれるのではないでしょうか?でも、これらの「がんの予備細胞」が、全て「がん発症」の事態になるわけではないのです。今回はがん細胞と戦う免疫機能についてお届けします。

正常な細胞が、発がん物質や放射線被ばくによってDNAを傷付けられたとします。1日に5000個作られる「がんの予備細胞」中のDNAを、細胞は毎日毎日治しています。この段階で修復に成功した細胞は、正常な細胞としてまた元気に働くことができます(図2 ①)。
次に、DNAの損傷が激しく、修復が追いつかない場合、細胞は修復に失敗してしまいます。こうした細胞は「自殺」することで死んだ細胞へと変わっていきます(細胞の自殺を「アポトーシス」といいます)。細胞が「自殺」することは、体の新陳代謝のためにも欠かせないことです。そして、この死んだ細胞は「貪食細胞」という免疫細胞に取り除かれます。「貪食(どんしょく)」の意味は「むさぼりくうこと」ですので、読んで字のごとく、ですね(図2 ②)。
また、修復に失敗した細胞のDNAが、突然変異を起こしてしまうこともあります。通常、突然変異を起こした細胞は、何らかの通常作られないような成分を、細胞の中に作るようになります。こうした成分を目印に、免疫細胞が「体にとって有害なもの」と判断して排除してくれます。先ほどの貪食細胞に加え、B細胞やT細胞と呼ばれる第二段階の免疫細胞も動員し、がん細胞になる直前で有害な細胞を排除してくれています(図2 ③)。このように、細胞が傷付いても「がん」の症状として発症するのは、ごく一部の細胞なのです。そして、がん細胞をやっつけて戦うためには、「免疫」機能がとても重要だということがお分かりいただけたと思います。

免疫の活性化には「腸」のケアが欠かせません。腸には、体全体の70%の免疫細胞が集中し、防御網を張っているのです。全身の免疫細胞には多くの種類が存在しますが、元々は1つの大元になる細胞から作られています。そのため、「腸」に集中している免疫細胞を元気にすることが、全身の免疫のバランスを整えることに繋がり、さらにはがん細胞と戦う体作りに繋がっていくと考えられます。ぜひ、病気になりにくい体作りのため、そして後々のがん発症のリスクを軽減するためにも「腸」を整えて元気にする生活を心掛けてください!