【特集】発酵の館 発酵食品

日本人の食卓に欠かせない発酵食品。美味しさだけではなく、含まれる栄養と機能性が注目を浴び、今や世界中の関心を集めています。

今回は、原点に戻って「発酵食品」そのものを見直してみましょう。

【私たちを支える発酵食品】

 世界最古の発酵食品は紀元前6000年頃のワインと言われています。そして紀元前3000年頃になると発酵パンやビールが作られ、その後、発酵乳や麹酒などその地域の動植物に合わせた発酵食品が誕生していきました。

 日本では、紀元前3世紀頃の縄文後期に稲作が行われ、米やご飯にカビが生えて麹になり、麹が発酵してお酒ができることを、当時の倭人は知っていたと推測されています。4世紀になると酢が伝来し、それから味噌や醤油など日本独自の調味料が生まれました。

【発酵とは】

 「発酵」とは微生物の生命活動であり、実は「腐敗」も同じ現象をさします。人間の体にとって有用ならば発酵で、マイナスならば腐敗となります。しかし、これはあくまでも私たち人間の都合に過ぎず、またその線引きは、気候風土の諸条件や長年の生活習慣によって民族で多少異なるとも言われています。

【発酵の魅力】

 発酵の魅力のまずひとつが「美味しさ」です。発酵させることにより、食材そのものでは得られない独特な風味や食感が生まれます。次に、収穫した食材を蓄えるといった「食品保存」です。生のままではすぐに腐ってしまうものも、発酵させることによって長期間の保存が可能になります。

 そして、もうひとつの魅力は「栄養」です。発酵させると、微生物によってアミノ酸やビタミン類、糖や有機酸などが生み出され、食材に含まれる栄養価がいっそう高くなります。

 こういった魅力から、発酵食品は昔から薬の代わりとして利用されるなど、長年に渡り重宝されてきたのです。

発酵食品を生み出す“微生物”

発酵をつかさどる微生物は、主にカビ、酵母菌、細菌の3種類です。カビや菌と聞くと、お腹を壊したり、食中毒を引き起こしたり、体に害を及ぼす厄介者のイメージがあるかもしれません。しかし、発酵を担う微生物はじつは体に良いものばかりです。代表的な微生物をご紹介いたします。

小泉武夫、金内誠、舘野真知子「すべてがわかる!発酵食品事典」世界文化社(2013)

発酵食品の体にうれしい効果

私たちの食卓をバラエティ豊かにさせてきた発酵食品。その魅力は、美味しさや保存性、そして栄養価のアップに加え、私たちの体にも多くのうれしい恩恵を与えてくれることです。日々の食事に取り入れて、健康な体づくりに役立てましょう。

●デトックス作用
溜まった毒素や老廃物を出す

発酵食品に含まれている乳酸菌や酵母などの微生物は、毒素や老廃物の排出を促し腸内環境を整えてくれます。体内に溜まった毒素の75%は便から排泄されるため、きれいな体づくりに貢献してくれます。また、味噌や納豆などの大豆の発酵食品は、血液中の悪玉コレステロールを減らす作用もあります。血液をサラサラにし、毒素をスムーズに流して排出するデトックス効果が期待できます。

●アンチエイジング
抗酸化作用で病気を寄せつけない

発酵食品には優れた抗酸化作用があります。ポリフェノールやフラボノイドなどの抗酸化物質は、発酵によって増加したり効果がアップするものもあります。そのため、体内の活性酸素を減らし、がんや生活習慣病の予防に役立ちます。また、大豆の発酵食品には悪玉コレステロールを除去して高血圧を予防する効果があります。発酵の過程でつくられるアミノ酸やビタミンなどは、美肌づくりにも役立ちます。

●免疫力アップ
腸を整えると免疫細胞がしっかり働く

体全体の70%にも及ぶ免疫細胞は、腸の中に存在しています。そのため、腸内環境を整えることは免疫機能がしっかり働くことにつながります。発酵食品に含まれる乳酸菌などの微生物は、腸内の善玉菌の働きを助け、便秘や肌荒れなどを引き起こす悪玉菌の増殖を抑制してくれます。腸内環境を良好に保つことにより、免疫力が高まり、風邪やアレルギーに負けない丈夫な体づくりにつながります。

●代謝アップ
栄養成分が巡りを良くする

食べたものをスムーズにエネルギーに変えていくための代謝には、ビタミンなどの栄養素が欠かせません。発酵食品に含まれるビタミンB群などの栄養素には、代謝を増進させて体の巡りを良くする作用があります。そのため、加齢によって痩せにくくなってしまう悩みを解消し、太りにくい体づくりに貢献してくれます。特に酢には血行を促進して代謝を高めたり、コレステロール値を下げたりする働きがあるのでおすすめです。