第11回「骨の強化=カルシウムの摂取だけではない!」 | オーエム・エックス博士の知恵袋

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オーエム・エックスの社長の高畑宗明(農学博士)です。

最近は突発的な大雨が降ったり、そうかと思えば急激に気温が上がったりと、
とても体調管理が難しい日々が続いています。体のバランスを維持するため
に、食べ物や栄養の重要性を益々実感する毎日です。
前回は、体を支える「骨」について少し詳しく書かせていただきました。単に
「支える」だけでなく、内臓を守り、血液を作り、情報伝達に必要なカルシウム
を貯蔵・調節しているのは驚きですよね。今回は、「骨」を強化するために必
要な栄養素について、今注目されている内容を一緒に見ていきましょう。


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 第11回 『骨の強化=カルシウムの摂取だけではない!』
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「骨を強くするためにはどうしたら良いですか?」という問いに、「カルシウムを
摂る!」と答える方はとても多いのではないでしょうか。カルシウムはもちろん、
私たちにとって必須元素です。カルシウムは毎日、便や尿として体の外に排泄
されるため、厚生労働省では1日に700mgの摂取が推奨されています。ただ、
通常は健常者では体の中のカルシウム濃度は一定に保たれています。そのた
め、偏った食事をして1日摂取量が下回らない場合は、追加で摂取する必要は
ありません。

しかし、現在問題になっているのが「骨粗鬆症」です。特に、閉経後の女性では
ホルモン(エストロゲン)バランスが崩れる事により、骨密度が低下してしまいま
す。また、妊娠に伴う骨粗鬆症も問題視されていて、これはお母さんのカルシウ
ムが胎児に移ることが原因です。さらには、若年性の骨粗鬆症も社会的に問題
です。子どもたちの栄養バランスが崩れ、これによってホルモンバランスも乱れ
て若いうちから骨密度が減少してしまうことが懸念されています。


 骨の強化=カルシウム摂取だけではありません


骨中のカルシウム濃度の減少は年々深刻になっており、骨粗鬆症の増加に繋
がっています。特に、健康志向で野菜食がブームになっている昨今、その傾向
は顕著に現れています。骨粗鬆症を守るために推奨されていることと、避ける
べきことを以下にまとめました。

【推奨されているポイント】
・生涯を通じて体重コントロールのためのエクササイズ
・体重過多を防ぐ(他の病気の予防にもつながる)
・カルシウム、ビタミンD、ビタミンK、リン酸、カリウム、マグネシウムなどの摂取
・適量なタンパク質摂取

【避けるべきこと】
・塩分過多、カフェイン過多
・タバコ
・タンパク質の過剰摂取や少な過ぎる摂取
・過剰なビタミンA摂取(レチノールであり、βカロテンではない)


 カルシウム摂取にはビタミンDが相棒として大切!


カルシウムは骨の重要な構成成分です。そしてビタミンDはカルシウムの骨へ
の吸着や排出を助ける役割をしています。カルシウムや骨の重要な構成成分
ですが、それよりもさらに、筋肉を維持するため(例えば心筋の維持)に血液
中ですぐに必要とされます。そのため、骨中カルシウムを減らしてでも血中カ
ルシウムを保ちます。

血中カルシウム濃度が低下すると、副甲状腺ホルモンが分泌され、副甲状腺
ホルモンが骨からカルシウムを放出します。そのため、骨粗鬆症は慢性的な
副甲状腺ホルモンの高レベル分泌が原因ではないかとも考えられています。

カルシウムの摂取が十分でも、ビタミンDの摂取が不足すると骨中のカルシウ
ム濃度を上げる効果は十分ではありません。2003年に行われた研究では、
女性の閉経後の骨折を予防するためには、カルシウムよりもビタミンDがより
重要であることが指摘されています。また、2007年の実験では、単なるカルシ
ウムだけの摂取では、骨折のリスク回避には繋がらないことも報告されていま
す。もちろんカルシウム摂取は重要ですが、骨の強化のためにはビタミンDの
存在が欠かせないのです。

ビタミンDは別名「サンシャインビタミン」と呼ばれます。これは、日光に当たる
ことで、ビタミンDが体内で合成されるからです。エクササイズをすることが推
奨されていますし、日光に短い時間でも浴びることを組み合わせると、より効
果的に骨へのカルシウム吸収を促すことができます。


 タンパク質摂取量は適量が大切!


骨のカルシウム維持を考える上で、過剰なタンパク質摂取は禁物です。特に
硫黄を含むアミノ酸(システイン、メチオニン)が多いタンパク質を過剰に摂取
すると、腎臓の酸負荷がおこり、カルシウムが尿中に過剰に排出される現象
が起こります。特に硫黄を含むアミノ酸は動物性タンパク質に多く、また穀物
中にも多いことが知られています。2002年の世界保健機関(WHO)の報告で
は、骨粗鬆症予防のためにカルシウム摂取量が多い国に、逆に骨折が多い
というカルシウム・パラドックスを指摘しています。この際の報告にも、カルシウ
ムを過剰に摂ることで骨から血中へのカルシウム流出が推論されています。
しかし、通常は尿中にカルシウムが放出されても、腸管からのカルシウム吸収
量が増えることで対応していますので、あくまで「過剰摂取」が問題となります。

また、タンパク質が骨の形成に必須であることは間違いありません。前回もお
伝えした通り、骨の構成成分はコラーゲンが大半を占めています。コラーゲン
はタンパク質の一種であり、アミノ酸を使って体の中で作られる物質です。食
事から摂取したタンパク質が消化酵素で分解されて、アミノ酸として腸管から
吸収されます。このアミノ酸を原料として骨のコラーゲンは合成されています。
そしてその合成を助けるためにはビタミンCも必要です。骨のコラーゲンを維持
するためにはタンパク質は必須ですが、摂り過ぎるとカルシウムの流出に繋が
ります。摂取にはバランスがとても重要ということですね。


 ビタミンKは腸内細菌が合成しています!


骨に含まれるタンパク質の中で最も多いのがコラーゲンですが、その次に多い
のが「オステオカルシン」と呼ばれるタンパク質です。 オステオカルシンはカル
シウムが骨に沈着するときに必要な物質です。そして、ビタミンKはその働きを
活性化することでカルシウムの骨への沈着を促しています。それ以外にも、ビ
タミンKはカルシウムの骨からの流出を防ぐ働きや、骨の石灰化を促す働きな
どがあり、複合的に骨を丈夫にするために働いています。
 
このビタミンKを合成しているのが、実は腸内細菌です。ビタミンKには大きく分
けてK1とK2に分かれます。植物から摂取できるのはK1(フィロキノン)で、腸内
細菌によって作られるビタミンKはK2(メナキノン)です。腸内細菌によって作ら
れたビタミンKは、腸管から吸収され骨へのカルシウム吸着を助けています。
納豆にビタミンKが含まれるのも、納豆菌がビタミンKを作り出しているからです。
腸内細菌は、その他にもビタミンB2、B6、B12、ビオチン、葉酸など多種類のビ
タミン類を合成してくれています。プレバイオティクス(腸内細菌を育てる効果を
持つ成分)素材として知られるオリゴ糖の一種「フラクトオリゴ糖」をマウスに摂
取させると、全身の骨中ミネラル密度が改善したという結果もあります。
 
腸内細菌のバランスを整えることで腸内環境が整い、結果として腸管からの栄
養素の吸収率も上がると考えられます。「骨」の健康を考える上で、カルシウム
とともにビタミンDの摂取や合成を促し、適量にきちんとタンパク質を摂取するこ
とももちろん大切です。そして、日々の生活の中で腸内細菌をバランス良く整え
ておくことが、ビタミンKの合成だけでなく他の栄養素を効果的に体が使うために
不可欠です。

OM-Xを摂取することで乳酸菌を摂り、そしてみなさんのお腹に住んでいる1000
兆個もの腸内細菌を活発に働かせましょう!