第16回「女性の美は綺麗な腸なくしては成り立たない」 | オーエム・エックス博士の知恵袋

こんにちは!
いつも弊社のメルマガを読んでいただき、ありがとうございます。
オーエム・エックスの社長の高畑宗明(農学博士)です。

昨年の10月くらいから、「ラブテリ」という予防医療プロジェクトの一員として、健
康や食育の啓蒙活動に参加するようになりました。「ラブテリ」とは、研究分野を
超えて国境も超えて、子どもたちに明るい未来を託したいという大人の集まりで
す。医療や健康の専門家の持つ知識や、海外の日々更新されていく最新情報
を提供し、日本の家庭教育と日本人の健康を妊娠時からサポートするために研
究や啓蒙活動を行っています。

私はこの「ラブテリ」の中で腸内細菌の専門家として活動させていただいていま
す。私たちの体は、日々私たちが食べる物で作られています。髪も肌も爪も、さ
らには心までも、口にする食べ物で毎日生まれ変わっています。しかし、どれだ
け素晴らしく栄養価の高い食べ物も、機能性のあるサプリメントも、体の唯一の吸
収器官である「腸」が詰まっていては吸収されません。私は腸や腸内細菌の大切
さをお伝えすることで、みなさまの健康を土台から支えてまいりたいと考えて活動
しています。

先日、「ラブテリ」の会議が大阪で行われ、私も「女性の美と健康と腸の関係」とい
う内容で発表をさせていただきました。今回から数回に渡り、その内容をオーエ
ム・エックスのお客様にもお伝えしてまいります。私を始め、男性の方にもぜひぜ
ひ読んでいただきたいと思います!

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 第16回 『女性の美は綺麗な腸なくしては成り立たない』
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 女性の「美」とはいったい何を指すのでしょうか?


女性は何歳になっても「美しさ」を求めます。最近は「美魔女」というキーワードも
流行し、年齢を重ねても美しく輝き続ける女性が脚光を浴びている時代です。と
ころで、そもそも「女性の美」とは何でしょうか?一般的に、外見の話題で挙げら
れるのは「肌」「髪」「爪」「瞳」などです。そして内面は性格や優しさなどの「心」で
す。

これらのキーワードについて、少しずつ栄養的な側面から見ていきましょう。「髪」
はケラチンという硬質のタンパク質から構成されています。そして、髪は平均的に
年に10cm前後伸びます。「肌」は表皮、真皮、皮下組織で構成されていて、皮
膚全体は実は2~3ヶ月で入れ替わっています。「爪」も髪と同じくケラチンという
タンパク質で作られています。爪は皮膚の表皮が硬化してできた部分で、1日に
約0.1mmずつ伸びています。「瞳」は伸び縮みするわけではありませんが、黒
目の焦点の調節は交感神経や副交感神経の働きによって行われています。ま
た、白目の濁りは内臓器官の乱れが原因として挙げられています。さらに「心」
(イコールではありませんが「脳」)は、「腸」と深い関係があることが指摘されてい
ます。

つまり、私たちの体は生まれてから同じ状態ではなく、昨日も今日も明日も常に
入れ替わっているのです。ガン細胞も実は5000個以上毎日体の中で発生して
います。普段はこれを免疫系が攻撃して破壊し、それを補うように新しく細胞が
作られているのです。ペットボトルの上下に穴が空いていて、同じ流量の水が出
入りし、常に一定の水分量が保たれているように、私たちの体の栄養や構成成
分は留まっているようで、しかし常に入れ替わっています。これを「You are what
you eat(あなたが食べた物であなたの体は作られる」と呼んでいます。そして、こ
の食べ物の体への入口が「腸」なのです。腸の機能がきちんと働いて初めて、栄
養素や良質なサプリメントは体に吸収されて美や健康へと繋がるのです。


 腸は食べた物の栄養素を吸収する唯一の器官


それではまず、腸をはじめとする消化器官の働きを紹介します。私たちが食べた
物は、口腔内を通過して食道を経て胃に入ります。口腔内で唾液アミラーゼが
デンプンを分解し、胃ではペプシンがタンパク質を分解します。また、有害な微
生物が体に入らないように、強い酸で殺菌が行われます。その後、胆汁や膵液
のプロテアーゼ(タンパク質分解)やリパーゼ(脂肪分解)でさらに分解され、腸
に達します。小腸では分解されて生まれたアミノ酸やビタミン、ミネラル、糖質、脂
質などが体の中に吸収されます。その後、大腸に移って水分や電解質が吸収さ
れ、食物繊維は腸内細菌の働きによって発酵されます。発酵によって生まれた
短鎖脂肪酸は、体のエネルギー源にもなります。その後、残ったものが固形化し
て便が形作られて排出されます。

このように、腸は栄養を吸収する最初で唯一の器官であり、体の外側と内側を隔
てる重要な境界線なのです。「腸は体の内側にあるんじゃないの?」と思われる
方も多いでしょう。しかし、口から肛門にかけては空洞になっており、実際には体
の内側ではなく外側なのです。そのため、体の組織内に入っていくのは、腸から
吸収された後が初めてのこととなります。体の中に悪いものが入らないように見張
り、それを的確に選別するというとても大きな役割を腸は担っているのです。

また、小腸と大腸を真っすぐ伸ばすと9メートルにもなると言われます。欧米人は
約7メートルくらいであり、これは雑穀類や繊維類が中心であった古来の日本人
が、消化しにくい成分をしっかりと消化して吸収するためであると考えられていま
す。さらには、腸の表面積はテニスコート一面分に相当します。このように、一見
小さく見えるお腹の部分は、広大な吸収面積を確保して栄養を吸収しているの
です。逆に言うと、ここが詰まって便秘状態になってしまうと、車に例えると大渋
滞が起こり、トンネルの中が排ガスでいっぱいのような状態になってしまうのです。


 「便秘は3日に一度しか出ない症状」という怖い認識


腸が停滞したら、一体どのようなことが起こるのでしょうか?代表的なものとして
「便秘」「肌荒れ」「体臭」「冷え」「肥満」などがまず初期症状として出てきます。こ
うした症状は、一見別々のように見えて実は繋がっています。腸の蠕動運動が低
下して、便を押し出す力が弱まります。すると本来排出されなくてはならない老廃
物が、腸内に停滞した状態になります。この悪玉菌が作るインドールやスカトー
ルといった老廃物が腸から吸収されてしまい、肌に到達して肌荒れを引き起こし
ます。

また、それと同時にアセトン体の影響で体臭が強くなることもあります。腸が停滞
すると栄養吸収が阻害されるため代謝活性が低下してしまい、細胞活動や血流
の停滞が生じて皮膚が冷えやすくなります。同時に新陳代謝も低下して脂肪が
燃焼しにくく太りやすくなります。弊社に問い合わせがあるお客様のお子様でも、
週に1回しか便が出なくて困っているといったお声があります。こうした若年性の
便秘症も社会的に大きな問題です。このような症状の最初のきっかけは食事内
容と、それにともなう腸内細菌バランスの変化です。

便秘について、もう少し見ていきましょう。2005年にダノンジャパン様によって発
表された「便通リポート」があります。その中で、女性のほぼ3人に2人は便秘に
なっているとされています。また、慢性的な便秘は「子どもを持つ働く既婚女性
(働くママ)」に最も多く、続いて「ひとり暮らしで働く女性」に多いことが分かります。
要するにストレスの多さと便秘には相関があると考えることができます。さらに「何
日以上排便がなければ便秘だと思いますか?」というアンケート結果が続きます。
これによると3日以上排便がないと便秘だと考えている方が50%もいるという結
果が出ています。さらには5日に1回以上と考えている方も9%程度いることが
驚きです。食べたものは24時間で消化・排泄されることを考えると、成人では1
日1回が正常な目安です。つまり、「便秘であること」が問題である以前に、「便
秘なのに便秘だと思っていない」人があまりに多いことが根本的な問題だというこ
とです。

便秘を治したいとき、注意しなくてはならないのが便秘薬です。漢方系の便秘薬
は、大腸での水分の吸収阻害をおこさせるものです。つまり下痢状態にすること
で腸管運動を活発化して排便させようとするものです。これは便秘と下痢を繰り
返す結果となり、善玉菌も全て押し出してしまうので、最終的には腸内細菌バラ
ンスを回復できなくなってしまいます。また、神経系統を刺激して、排便をうなが
す便秘薬もあります。しかし、こうした薬や成分も飲み続けると麻痺して効かなく
なり、さらに飲む量を増やしてしまうという悪循環に陥ります。

こうした中でも、市場はダイエットブームに湧いています。「食べないダイエット」
や「置き換えダイエット」が流行し、多くの方が1回トライして次に移り歩いていら
っしゃいます。このダイエット方法が、実は太りやすくなる負のスパイラルを招い
ているのです。この続きは次回の私のメルマガでご説明させていただきます!