第33回 『人間の体の中の酵素は外から補えるの?』 | オーエム・エックス博士の知恵袋

こんにちは!
いつも弊社のメルマガを読んでいただき、ありがとうございます。
オーエム・エックスの社長 高畑宗明(農学博士)です。

このメルマガを書いている本日(8月30日)、東京で開催されている
「第60回 日本食品科学工学会」で弊社『OM-X』の新しい機能性につい
て発表が行われています。今回の発表は「『OM-X』の人工消化液処理によ
る抗酸化能の上昇」という内容になります。私たちの体内では日々「活性
酸素」と呼ばれる物質が発生し、過剰に発生した「活性酸素」が細胞や血
管を傷付けて病気を起こす可能性があります。『OM-X』がこうした「活性
酸素」をどのくらい除去できるかという発表内容で、とても良い結果が出
ています。また改めて皆様にもお伝えできればと考えています。

さて、今回は改めて「酵素」についてお伝えしたいと思います。色々な雑
誌やメディアで「酵素ダイエット」が取り上げられていますが、正しい知
識を伝えているマスコミはほとんどゼロの状態です。その間違った情報に
基づいて、様々なダイエット商材が市場に乱立していることが、研究者と
してとても悲しく感じられます。このメルマガを読んでくださっている
方々には、科学的に正しい知識をお伝えしていくように毎回心掛けていま
す。是非今回のメルマガを、体の「酵素」の仕組みをご理解いただくきっ
かけとしていただければと思います。

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 第33回 『人間の体の中の酵素は外から補えるの?』
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 「酵素」は体の外からは補えません!


数年前から流行している「酵素ドリンクダイエット」。
食事の代わりに「酵素ドリンク」と呼ばれる飲料を飲んで、それを食事と
置き換えてダイエット(減量)をするというものです。

そうした商品が販売されている場所で、よく見かけるのが「年齢と共に体
内の酵素が減少するので、外から補いましょう」というものです。でも、
果たして本当に「酵素」は外から補えるのでしょうか?

実は、私たちの体の中で働く「酵素」は、私たちの体の中でしか作られま
せん。私たちの体には、食べた物を消化するための「炭水化物分解酵素」
や「タンパク質分解酵素」、「脂肪分解酵素」などの「消化酵素」があり
ます。また、体の代謝機能や修復、タンパク質やビタミンの合成、毒素の
排出といった生命活動や生命維持に欠かせない役割を果たす、無数の「酵
素」が存在します。こうした人間の体の中の様々な「酵素」は、DNAとい
う設計図に基づいて、体の中でしか作られない、人間独自のものなのです。


 外から摂った「酵素」は分解されてしまいます!


また、口から直接「酵素」を摂ったとしても、自分自身の「消化酵素」に
よって分解されてしまいます。何故かというと、「酵素」はタンパク質の
一種だからです。タンパク質は食事から摂った場合、「タンパク質分解酵
素」によって分解され、アミノ酸の形で腸から吸収されます。これと同じ
ことが、口から摂った「酵素」にも起こるのです。さらに、植物由来の
「酵素」は、「植物独自の酵素」であるため、人間の体内で最大限力を発
揮することができません。

アメリカなどの欧米で販売されている「酵素(エンザイム)サプリ」は、
「微生物が作った消化酵素」などを粉末化し、食事の際に一緒に飲むこと
で、口の中や胃の中で消化の負担を軽減することに特化したサプリメント
です。そのため、「酵素ドリンクで酵素を直接体の中に補う」という日本
のドリンク製品とは全く主旨が異なるのです。

それに、もしも外来の「酵素」が分解されることの無いまま腸から直接入
ってしまったら・・・、腸から異物が入ったことで排除されるか、食物ア
レルギーのようにショック症状を起こしてしまいます。


 体内の「酵素」を増やすポイントは「腸内細菌」!


それでは、体の中の「酵素」を増やすことは出来ないのでしょうか?
直接的に補うことはできませんが、2つの方法で「酵素」を作る手助けを
することができます。

1. 「酵素」=「タンパク質」の材料となる栄養素をバランス良く摂る

「酵素」は「栄養『素』」ではありません。「栄養素」と呼ばれるアミノ
酸やビタミン、ミネラルなどを材料として、体の中で作られます。言い換
えると、アミノ酸は「材料」で、DNAが「設計図」、そして酵素が「材料を
基にしてつくられた製品」といったイメージです。

少し詳しく言うと、「酵素」はタンパク質ですので、約20種類あるアミ
ノ酸が様々な順番で数10個~数100個結合した形をしています。こうし
た「酵素」が体内で無数に作られていて、その種類ごとに使われているア
ミノ酸の種類や量、つながっている順番が違います。そのため、何かのア
ミノ酸だけが必要なのではなく、全てのアミノ酸がバランス良く必要にな
ります。

また、「酵素」が働くためには「補酵素」と呼ばれるビタミンやミネラル
を必要とするものがあり、さらには糖が結合して働く「糖タンパク質」も
あります。「酵素」が体の中できちんと作られるためには、バランスに富
んだ栄養素の摂取がとっても重要なのです。

2. 「腸内細菌」を活発にして「腸内細菌酵素」を活性化する

私たちの腸内には、1000種類1000兆個以上ともいわれる「腸内細菌」が
住んでいます。こうした「腸内細菌」たちは、実は私たちの「消化酵素」
が分解しきれなかった食べ物を分解したり、腸内でアミノ酸やビタミンを
作ってくれたりしています。

その時に働くのが「腸内細菌」が作る「酵素」です。私はこれを「腸内細
菌酵素」と呼んでいます。そのため、「腸内細菌」を活発にすることが、
体内(腸内)の「酵素」を増やして活性化することにつながるのです。

「腸内細菌」の中で、善玉菌として有名なのが「乳酸菌」「ビフィズス
菌」です。ただし、「腸内細菌」は1億人いれば1億パターンの構成があ
るように、ひとそれぞれ腸内に住んでいる菌の種類が大きく異なります。
よく、外から乳酸菌を摂って補いましょうと言われますが、「腸内細菌」
は個人差が大きいので、単純に外から摂るだけでは効果が限られてしまい
ます。

また、ひと言で「乳酸菌」といっても数百種類もあり、「ビフィズス菌」
も数十種類も存在しています。体に良いと謳われている特定の菌(プロバ
イオティクス菌)も、それだけを摂取したのでは、自分の腸に合うかどう
かは分からないのです。

それでは、自分の「腸内細菌」を元気にするにはどうしたら良いのでしょ
うか?自分自身の「腸内細菌」を活発にするためには、微生物が作ったも
のを与えるのが効果的です。なぜなら、「腸内細菌」は腸の中でお互いが
作り出した代謝産物(活動によって作られる成分)をエサにして生活して
いるからです。この代謝産物を人工的に作ったエサを腸に届けることで、
自分自身に生まれながらに住んでいる自分に最適な善玉菌などが、元気に
働くようになります。

ここでおすすめなのが「発酵食品」です。「発酵食品」は微生物の発酵によ
って作られますので、微生物の代謝産物が豊富に詰まっています。つまり、
腸の中で行われていることを、体の外で事前に行っているようなものです。
体の中の「酵素」、つまり「腸内細菌」が作る「酵素」を有効に活用する
ためにも、是非伝統的に作られている日本の「発酵食品」の摂取をお薦め
します。栄養バランスも非常に優れていますので、体の中で「酵素」を作
る材料としても効果的です。

日本では弊社『OM-X』のような「発酵エキス」を、何故か「酵素」と呼ぶ
風習が以前からあるため、ドリンクでない「発酵エキス」も「酵素」と分
類されています。そしてまだまだ科学的でない呼び名で認識されてしまう
ことが多くあります。

「腸内細菌」は「酵素」だけでなく、免疫や感染防御、疾患予防や脳に発
達にもとても重要な働きをしています。少しずつでもそうした正しい知識
や考え方を広めていくために、今後も『OM-X』を通じて努力を続けたいと
思います。