第34回 『ビタミンDは腸内環境とも関連がある!?』 | オーエム・エックス博士の知恵袋

こんにちは!
いつも弊社のメルマガを読んでいただき、ありがとうございます。
オーエム・エックスの社長 高畑宗明(農学博士)です。

最近、市場に出回っている健康食品(特にダイエット系)のうち、約4割
が肝臓の機能に影響を与え、薬の効果を減少させてしまうという結果が厚
労省から発表されました。自分自身できちんと商品の内容を見極める目を
持つ以上に、企業はお客さまの健康のために、分かりやすい情報開示と、
危険な成分を使用しないことを徹底しなくてはならないと思います。弊社
ではつい先日、ハーバード大学と共同研究で進めていた「OM-X」のヒト安
全性試験結果が論文に受理されました。今後も、腸内環境の改善効果や抗
酸化、抗疲労などの機能性を追求するとともに、高い安全性を保ちつつ、
それをきちんと証明していく循環を、常に保ち続けて参ります。

それでは、今月もメルマガを通じて最新の情報をお届け致します。「日光
を浴び過ぎると体に良くない」という考えから、インドアな子供たちや陽
の光を避ける若い人たちが多くなっています。そのような中、ある成分が
体に不足し、健康に悪い影響が出始めています。その成分は「ビタミン
D」。今回はビタミンD、さらに腸内環境との関係についての特集です。

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 第33回 『ビタミンDは腸内環境とも関連がある!?』
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 ビタミンD不足が骨の発育を妨げる


先日、ニュースで「乳幼児がビタミンD欠乏によるくる病になっている事
例がある」という報告を目にしました。くる病とは「骨軟化症」のことで、
成長期に骨のカルシウムが作られず、骨が曲がったり軟らかくなったり、
骨折しやすくなる骨の病気のことです。近年の日本では、栄養不足の子供
が少なくなり、くる病の報告を聞くこともかなり少なくなりました。しか
し最近、栄養のバランスを欠いた食事や紫外線不足から、くる病症状を呈
する子供が増えているようです。

まず、くる病の症状から見てみましょう。主に骨の異常が出て、骨や体格
の成長にも影響が出てしまいます。

・足が曲がって成長し、O脚にもつながる
・関節が膨らむ
・筋肉痛や筋力低下が起こる
・成長期でも身長や体重増加が止まる
・歯のくすみ、虫歯、痙攣や手足のこわばりが見られる など

これらは、骨の成長に不可欠なビタミンDやカルシウム、リン不足が主な
原因で起こります。この中でもビタミンD不足による症状が最近は多く見
られます。


 サンシャインビタミンと呼ばれるビタミンD


ビタミンDはカルシウムを骨に取り込む役割を担う大切な栄養素。食品か
らの摂取によっても補えますが、実は紫外線から体内で合成することがで
きます。日光にあたることによって紫外線を適度に浴び、自分自身で作り
出せるビタミンDは、別名「サンシャインビタミン」とも呼ばれています。

しかし、近年ではアトピーなどの皮膚炎の悪化防止や、紫外線による皮膚
がんや白内障への影響が指摘され、若い女性を中心にビタミンDの不足が
深刻な状況になってきています。子供たちの中でも、以前に比べて屋外で
遊ぶことが少なくなり、日常生活の中で日光を浴びる時間がかなり少なく
なっています。

食事からのビタミンD摂取基準は、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準
(2010年版)」によると1日あたり5.5マイクログラムが目安とされて
います。一方、他の先進諸国では10~25マイクログラムと設定している
国もあり、その必要摂取量は国によってまちまちです。これは、日光に浴
びる時間によって、かなり必要摂取量にバラツキがあるからだと言えます。
例えば緯度の高い国々では必然的に日照時間が少なくなり、それだけビタ
ミンDが不足することによる疾病のリスクが増加しています。

ビタミンDは、実は骨の発育だけでなく、その他の疾病リスクにも大きく
影響をしています。不十分なビタミンDは甲状腺機能亢進症、免疫系の病
気(1型糖尿病、多発性硬化症、関節リウマチ、クローン病)のリスクを
増やすという報告が数多く出て来ています。これは、ビタミンDが免疫系
に関連するリンパ球などを活性化する働きがあるからだと考えられていま
す。また、生活習慣病として知られている高血圧や心筋梗塞なども、ビタ
ミンDの量が不足していることが影響していると言われるようになってい
ます。さらには不妊症とビタミンDの関係性も指摘されていて、ホルモン
のバランスにも無くてはならない役割を果たしています。

最近は日焼け止めを使ったり、日焼け防止目的で肌をカバーしたりする人
が多くなっています。また、年齢とともに皮膚でのビタミンD合成量も不
足し、70歳以上では75%も減少するようです。これから冬に向かう季節で
は、いつもより日照時間が減少するため一層のケアが必要になってきます。


 ビタミンDと腸内細菌も関連がある!?


海外では、ビタミンD関連のサプリメントがかなり大きな市場を持ってい
ます。これは、諸外国の食事ではかなり内容に気をつけない限り、サプリ
メントを摂取しなければ不足を補えないからです。一方で、実はビタミン
Dは日本食によく登場する食材に多く含まれていることが分かっています。
例えば、鮭やまぐろ、さんま、ます、ヒラメ、きくらげ、いわし、しらす
干しなどに多く含まれています。その他、卵やキノコ類も少しずつではあ
りますがビタミンDの摂取に役立ちます。

そして、ある研究によると乳酸菌の摂取によって体内ビタミンD濃度が高
まるという報告もされているのです。2012年に投稿された論文によると、
乳酸菌の一種「ラクトバチルス・ロイテリ NCIMB 30242株」を経口的に
毎日摂取すると、血中のビタミンDレベルを25%も増加させたと発表され
ています(J Clin Endocrinol Metab. 2013, 10, 2012-4262)。

実はビタミンDの摂取は、腸内環境が大きな役割を果たしていることが知
られています。つまり、整った腸内環境が無ければ、いくら食事やサプリ
メントからビタミンDを摂取しても吸収がうまくできないということにな
ります。この研究では、継続的に乳酸菌を摂取することで腸内細菌のバラ
ンスが変化し、ビタミンDの摂取量が増加したのではないかと述べられて
います。

さらに、2012年の文献にもビタミンDと腸内細菌の関連についてのコメ
ントがあります。小規模の実験ですが、ビタミンDの摂取量が減少すると、
腸内細菌のバランスが変化するという結果が出ています(J Allergy Clin
Immunol. 2011, 127, 1087-1094)。さらには、同じ論文の中でビタミン
Dが免疫のバランスに影響を与え、それが腸内細菌にも関係しているとも
示唆されています。まだ大規模な実験ではないため関連性は確実ではあり
ませんが、今後腸とビタミンDと腸内細菌の関連が明らかになり、新しい
サプリメントが誕生するかもしれません。

幼少期の骨の発達のためには、カルシウムの適切な摂取、さらにはカルシ
ウムの吸収を助けるマグネシウム、そして今回話題のビタミンDが欠かせ
ません。そして、幼少期だけでなく、成人になってからの疾病リスクの軽
減や老齢期の健康を維持する上でも大きな役割を果たしていることが明ら
かになってきています。

適度に日光を浴びることは、ビタミンDの合成に繋がりますし、セロトニ
ンの合成を促すことで脳の健康にも役立ちます。セロトニンも腸で数多く
作られ、それが脳のセロトニン合成に関わっているとも言われています。
こうして考えると、ビタミンDだけではなく、全身の健康に対して腸が大
切な働きをしていることがよく分かります。これからも、適度な日光浴、
バランスの良い食事、そして腸内環境を整えることで、生涯に渡る健康維
持に努めてまいりましょう。

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