第35回 『あなたの不調、「リーキーガット症候群」が原因!?』 | オーエム・エックス博士の知恵袋

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いつも弊社のメルマガを読んでいただき、ありがとうございます。
オーエム・エックスの社長 高畑宗明(農学博士)です。

先日、出張で香港に行ってきました。香港では5年ほど前から『OM-X』
が販売されています。日本ではあまり見かけませんが、海外ではさまざま
な「サプリメントショップ」が街頭やショッピングモールに出店していま
す。『OM-X』はその中で「グローバルウェルネス」というチェーン店で
取り扱われています。香港の中心街や、ここ数年で完成した巨大なモール
でも店頭で大きく『OM-X』が紹介されていて、海外においても多くの
方々に商品が愛用されていることを改めて嬉しく感じました。また、店舗
のスタッフに対してプレゼンテーションを行い直に反応を聞いたことで、
今後一層研究に力を入れようと決意を新たにしました。

香港では、さらに自然療法士のクリニックでも『OM-X』が扱われていま
す。そのクリニックで、最も多い症状が「リーキーガット症候群」という
ものです。あまり聞き慣れず、ご存知ない方も多いのではないでしょう
か。香港では、この症状を抱えている方に、『OM-X』が処方されること
が最も多いそうです。今回は、この「リーキーガット症候群」について、
腸の仕組みを踏まえてご紹介いたします。

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第35回 『あなたの不調、「リーキーガット症候群」が原因!?』
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 「リーキーガット症候群」って何?


みなさんは「リーキーガット症候群」という言葉をご存知でしょうか?
「リーキー(弱い)+ガット(腸)」、つまり弱った腸のことを表してい
ます。日本語では「腸漏れ」と訳されることが多いのですが、まだそれほ
ど多く浸透しているわけではありません。しかし、世界的に見ると、多く
の方々が病気の発生源として認識されている「腸」の症状なのです。

腸は体の外側と内側をつなぐ最初の入り口です。口から食べた食べ物は、
消化管で分解され、細かくなった栄養素が吸収されることで体の中に栄養
が取り込まれます。また、病原菌が入り込んだり、有害物質が取り込まれ
たりしないようにするために、門番のような役割もしています。このよう
に、腸は体に必要な成分と必要でない物質を判別する大切な働きをしてい
ます。


 腸はどうやって栄養を吸収しているの?


腸の表面は「粘膜」という層でおおわれています。粘膜は上皮細胞とよば
れる無数の細胞から作られています。粘膜には高さ0.5~1.2mmほどの絨
毛(じゅうもう)があり、腸に運ばれてきた栄養分はこの絨毛の表面から
吸収される仕組みになっています。

栄養吸収が主に行われる小腸内の総面積は、絨毛の表面などを合わせる
と、体の表面積のなんと100倍にもなります。腸の粘膜にある上皮細胞
は、普段は強固に結びついていて、その結びつきをきつくしたり緩めたり
することで、物質の取り込みをコントロールしています。このように、腸
の粘膜がうまく機能することで、私たちは腸から栄養を取り込んでいるの
です。

また、粘膜には免疫細胞が集中しているため、病原菌の侵入を最前線でブ
ロックする役割も果たしています。粘膜の表面には、病原菌を攻撃するた
めの抗菌物質が分泌され、さらに免疫グロブリンA(IgA)という物質も
病原菌を攻撃しています。粘膜の下層にはさらに第二段階目の免疫細胞
(獲得免疫)も集中しており、万が一病原菌が防御網を突破しても、すぐ
に対応できるようになっています。この広大な粘膜の面積と、幾重にも重
なった防御機能が、「腸には体の70%の免疫が集まっている」と言われ
る所以なのです。


 腸粘膜の破壊が様々な病気の原因?


しかし現代社会では、生活習慣や食生活の乱れ、有害物質などの様々な原
因が元となり、腸の細胞が傷付いて粘膜が破壊されていることが多いので
す。そのため、普段は腸から吸収されることのない「未分解の食事成分」
「病原菌」「有害物質」などが腸から体に「漏れ出してしまう」のです。
リーキーガット症候群とは、このように本来体内へ取り込むべきではない
ものを体内に取り込んでしまい、体に様々な不調を引き起こしてしまう状
態と言われています。

例えば、普段口にしている食べ物は、消化酵素によって分解されてアミノ
酸や小さなペプチドの状態になって腸から吸収されます。しかし、腸の粘
膜が傷付き、大きな成分が入り込んでしまう状態では、きちんと分解され
ないままの食事成分が入り込んでしまいます。このような大きな成分は、
体にとって「異物」であると認識されるため、炎症反応が起こりアレルギ
ーを引き起こしてしまうのです。これを「食物アレルギー」と呼んでいま
す。

明らかなアレルギー反応が無い状態でも、慢性的に炎症が続いている可能
性もあります。また、腸の粘膜は様々な消化酵素を作り出す大切な場所で
もあります。粘膜が傷付くと、消化酵素の生産も弱まってしまうため、食
事成分の分解がされにくくなる悪循環にもつながります。

さらに、腸からの栄養吸収の仕組みがうまく働かなくなるため、ビタミン
やミネラルなどの微量栄養素の吸収までも滞り、体が慢性的な栄養不足状
態をきたしてしまうのです。「なんとなく体がだるい」「風邪をひきやす
くなった」といった、病気ではないけれど体の状態がどこかおかしいとい
う場合、腸の状態が慢性的に傷付いている可能性があります。

日本では、腸にやさしい伝統的な日本食によって、腸の病気は少ない傾向
にありました。しかし近年、腸に関連する病気が急激に増加しています。
特に大腸がんは女性のがん死亡原因の第一位となっています。さらに、世
界的な研究論文をみても、「食物アレルギー」「栄養障害」「過敏性腸症
候群」「肥満」などの症状が、リーキーガット症候群と関係しているとい
うデータが発表されています。まだリーキーガット症候群と病気の直接的
な関係性は人間レベルの臨床的には証明されていませんが、腸粘膜の悪化
と全身の健康状態との関係性が、今後益々注目されてくると考えられます。


 腸の状態を回復させるためにはどうしたら良いの?


それでは、腸の粘膜の状態を回復させるためには、どうすれば良いのでし
ょうか?実は、腸粘膜にある上皮細胞は、「酪酸」という有機酸をエネル
ギーとして増殖しています。そして、この酪酸は腸内細菌の一種が生産し
ているのです。腸の細胞は約4~5日間で剥がれ落ち、すごいスピードで
生まれ変わっています。この生まれ変わりを促進するためにも、酪酸は欠
かせません。そして酪酸は、乳酸菌やビフィズス菌の作る酢酸から合成さ
れています。このように、腸内の善玉菌を活発に働かせることが、腸の粘
膜を回復させるために大切です。

また、慢性的な炎症状態を抑えるためにも、「抗炎症」が大切なキーワー
ドです。抗炎症作用を持つ成分として有名なのが「オメガ3系脂肪酸(油
脂)」です。脂肪、と聞くと体に悪いイメージが付いていますが、良質な
油脂は体の炎症を鎮める作用があり、特にオメガ3系と呼ばれる種類は日
常的に摂取量が不足していますし、世界的にも乳酸菌と同じように大きな
注目を集めています。

オメガ3系脂肪酸を含むのは、植物性では亜麻仁油やエゴマ油、動物性で
はEPAやDHAを含む魚類です。こうした良質な油脂は食事から取り入
れることはなかなか難しいため、サプリメントで取り入れることもおすす
めです。

その他にも、野菜をたくさんとることで、野菜に含まれる「抗酸化」パワ
ーが、活性酸素による炎症を抑えることにもつながります。色の濃い野菜
や果物には、特に抗酸化成分が多いことが最近の研究で分かってきていま
す。もちろん日本古来の発酵食品も腸の状態の回復に役立ちます。特に植
物性の発酵食品は、元の植物に含まれる抗炎症成分を摂取できますし、腸
の善玉菌のエサにもなるため、酢酸や酪酸の合成にもつながります。

「なんとなく体がダルい」「アレルギー体質が気になる」という時は、ま
ず「抗炎症」や「抗酸化」をキーワードに、積極的に野菜や果物、そして
発酵食品を取り入れて「腸から健康生活」を実践していきましょう。