第8回「日本に息づく伝統的発酵食品」 | オーエム・エックス博士の知恵袋

こんにちは!
いつも弊社のメルマガを読んでいただき、ありがとうございます。
オーエム・エックスの社長の高畑宗明(農学博士)です。

今月から少し幅を広げて、「博士としての目線」で最新の話題や乳酸菌、
腸内細菌の情報を私なりにまとめてお届けしてまいります。
今年は「OM-X」の研究テーマとして、「免疫」を重点的に追求しようと
考えています。「免疫」と一言でいっても膨大な数のテーマがありますの
で、少しずつ噛み砕いてこのメルマガでもお届けしていきますね!

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 第8回 『食物アレルギーとアトピー性皮膚炎の意外な関係』
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つい先日、「石けん中の小麦が原因で食物アレルギー発症」というニュー
スが話題になりました。これについてとても不思議に感じていらっしゃる
方も多いのではないでしょうか。「なぜ、食べ物のアレルギーが皮膚から
起こるの?」という声を、弊社のスタッフからも聞きました。不思議に感
じるのも無理はないと思います。

私も知らなければ「なんで!?」と感じるはずです。少し前までは、誰も
がそう感じていましたが、最近になって皮膚からのアレルゲン侵入が注目
されています。今回はこの話題について取り上げます。


 食品アレルゲンには経口免疫寛容が働いています


私たちは毎日食事をしています。食事は普通なら体に吸収されて、そのう
ち排泄されます。当たり前のように思うこのことは、実は体にとっては
「特別なこと」なのです。例えば、悪い細菌やウイルスが体に入ってしま
うと、大きな病気を引き起こしてしまいます。でも、通常は細菌やウイル
スが入らないように、特に腸ではたくさんの細胞が戦ってくれています。
これを「免疫」と呼んでいます。免疫が働いているので、体は悪い菌から
体を守ることができるのです。

細菌やウイルスは体にとっては異物。この異物のことを「抗原」といいま
す。それと同じように本当は食事のタンパク質も体にとっては異物(抗原)
なので、免疫系で排除されるはずなのです。でも、毎日の食事は体に取り
込まれています。すごく不思議だと思いませんか?

このように食事から摂取する食物タンパク質(食物抗原)は排除されず、
体に吸収されることを「経口免疫寛容(けいこうめんえきかんよう)」と
いいます。字のごとく、口から食べたものには免疫系は寛容(受け入れる)
のです。「あの人は寛容な心の持ち主だ」という使い方もされますよね。

みなさんもご存知の通り、乳幼児期には食物アレルギーの患者さんが多く
いらっしゃいます。そして長い間、この理由は消化管機能や免疫機能が乳
幼児期には未熟だからだと考えられてきました。そのため、子どもの食物
アレルギーの対処法として、妊娠中や授乳中、また原因となる食べ物を子
どもに与えないということが推奨されてきました。

しかし、この考え方は2008年に撤回されています。これは、色々な事例か
ら総合して、食物アレルギーの予防として食物制限を行うことは効果を果
たしていないと判断されたからです。


 食物アレルギーは実は皮膚から起こっている!?


それでは、食物アレルギーの原因はどこにあるのでしょうか?今、いちば
ん注目されているのが「皮膚からの侵入」、つまり「経皮感作(けいひか
んさ」です。そしてここに、食物アレルギーとアトピー性皮膚炎の関係が
出てくるのです。

例えば、ピーナッツを見てみましょう。ピーナッツは有名な食物アレルゲ
ンで、アナフィラキシーを発症し、少量でも重篤な症状が誘発される方が
いらっしゃいます。アトピー性皮膚炎や湿疹をお持ちで、かつピーナッツ
アレルギーの方が、皮膚の病変部からラッカセイ油が侵入し、ピーナッツ
アレルギーを発症したという事象があります。

アトピー性皮膚炎は、炎症の悪化、乾燥や心のストレス、黄色ブドウ球菌
などの病原菌への感染による合併などで進行していきます。こうした場合、
皮膚のバリア機能が壊れてしまい、その隙間から食物アレルゲンが侵入し
やすくなり、食物アレルギーを発症してしまうのです。

実際に、食物アレルギーの方はアトピー性皮膚炎を合併していることが多
いのです。乳幼児アトピー性皮膚炎の30~80%の方が食物アレルギーを合
併しています。湿疹の重症度や発症が早期であるほど、食物アレルギーの
発症も増えると考えられています。

そこで今提唱されているのが「経皮経口二重アレルゲン侵入仮説」です。
つまり、「口から食べることは免疫寛容(耐性)を導き、本当のアレルギ
ー発症は皮膚から起こる」ということです。

乳幼児期は、湿疹などによってバリア機能が弱まった皮膚を通じ、環境中
に存在する食物アレルゲンによってアレルギーを発症する可能性が考えら
れます。そのため、まず皮膚のバリア機能の回復を目指して経皮感作を抑
えることが重要なのです。そして、食物アレルゲンを全て除くのではなく、
むしろ口から摂取することで経口免疫寛容が作られるのを促進することが
大切です。こういった方法が、食物アレルギーを抑える新たな方策として
考えられています。そして、腸内細菌を整えることが、さらなる耐性誘導
を強化してくれます。


 意外なところに潜む食物アレルゲン


今回の「石けん中の小麦が原因で食物アレルギー発症」というのはつまり、
元々小麦アレルギーをお持ちで、かつ皮膚トラブルを抱えている方が、肌
ケアのために使用していた石けんに「小麦由来成分」が入っており、その
弱った肌からアレルゲンが侵入して発症したことが一因なのではないかと
考えられるのです。お肌が弱い方は特に、そういった成分に気を付ける必
要があります。また、アレルゲンにまだ気付いていない方が、皮膚からの
感作でアレルギーを発症する可能性もあります。

家に溜まっているホコリにも、なんと食物アレルゲンが存在しているそう
です。すごく意外ですよね!でも、知らず知らずに肌にアレルゲンが触れ
ることは多いのです。少なくともこまめな掃除やホコリの除去は必要だと
思います。

ただし、全てを除菌して回ると、今度は「天然のワクチン」である微生物
に触れる機会が減少してしまいます。まずは食物アレルギーの場合、皮膚
トラブルの解決が大切な要因です。そして、アレルギーを起こす可能性の
ある食品を口にする時には、お医者様に相談して摂取量や期間などを考慮
しながら取り入れることをおすすめします。

大人が発症するアレルギーでも、小さい頃に口にしていなかったために耐
性がうまくできていない可能性もあります。幼少期に色々な食品をまんべ
んなく口にしておくことで、様々な食物アレルゲンに触れ、それが経口免
疫寛容を作りあげることにつながります。

大人になってから食物アレルギーを解消するのは本当に大変なことです。
私の回りにも、そばが食べられない、甲殻類もダメという方がいらっしゃ
います。見ていて本当に大変なことだと実感しています。そうなる前に、
ご自身のお子様や回りの子どもたちには正しい知識が伝わっていくことを
願っています。

そして、腸に存在する免疫系は腸内細菌がいなければ活動しないことも分
かっています。このことは、また次回以降にお話しさせていただきます。
腸内細菌を整えるために、乳酸菌やビフィズス菌を有意にしておくことも
必要です。大人になってからももちろんOM-Xでお腹の微生物ケアをして
いただきたいですし、お子様にもぜひ薦めてあげてください!カプセルが
飲みにくい方は、カプセルを切って中身だけを召し上がることもお薦めの
方法です。ぜひご家族みなさんでご愛用くださいね。


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【編集後記】

現在、私からのメルマガの配信スケジュールを考案中です。月に一回から
毎週に増やすことを考えています。さらに充実した情報をお届けできるよう
に頑張りますので、今後ともご愛読をよろしくお願いいたします。