第40回 『おならが出るのは良くないことなの?』| オーエム・エックス博士の知恵袋

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いつも弊社のメルマガを読んでいただき、ありがとうございます。
オーエム・エックスの社長 高畑宗明(農学博士)です。

今年は3月から5月にかけて、海外から多くの『OM-X』関係のお客さまが 日本にいらっしゃっています。タイ、シンガポール、マレーシア、ベトナ ム、台湾の方々に『OM-X』について説明する機会を頂き、私自身たくさん の成長の場を得ることができました。また、7月から年末にかけては毎月 海外出張が控えています。単に製品の紹介をするだけではなく、日本の代 表として伝統や食文化を丁寧にお伝えできるように、気持ちを新たに勉強 に励んで参ります。

さて、お客さまから頂く質問の中で、「最近おならが良くでるようになっ て少し困っています」という声を頂戴することがあります。確かに頻繁に おならが出てしまうと、どうしても恥ずかしいという気持ちになってしま います。でも、おならが出る仕組みや理由を理解すると、むしろ健康にと って必要不可欠なことと感じて頂けると思います。今回のメルマガは、お ならと上手に付き合っていくために、ガスが発生する仕組みをご説明し、 うまくコントロールするためのコツをお伝えいたします。

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 第40回 『おならが出るのは良くないことなの?』
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インターセプション おならが出るのは腸内細菌が活発な証拠


私たちのお腹に住んでいる、無数の微生物たち。彼ら腸内細菌は、日々私 たち人間が口にしている食事成分を栄養にして暮らしています。そして、 食事を分解してくれたり、その成分から新しい有用な成分を作り出してく れたりすることで、私たちに多くの有益な健康パワーをもたらしてくれて います。

実は、腸内細菌は食事成分のうち「炭水化物」を主要な栄養源としていま す。炭水化物という名称は、糖質と食物繊維の総称です。つまり、腸内細 菌は、糖質や食物繊維を分解し、これらをエネルギーに変えることで生き ています。よく、「善玉菌を増やすためにオリゴ糖や食物繊維を摂りまし ょう」と言われるのはこうした理由からです。

そして、炭水化物を利用して腸内細菌がエネルギーを作り出す時、微生物 たちはその副産物としてガスを作り出します。このガスは有害なものでは なく、二酸化炭素や水素、メタンといった種類です。要するに、ガスが発 生しておならが出ることは、腸内細菌が活発に働いて、私たちに免疫や感 染防御などの恩恵を与えてくれている証拠なのです。

おならの匂いで善玉菌か悪玉菌かを「嗅ぎ分ける」


「おならが出るのは健康な証拠と言われても、ニオイが臭いのは困る。」 そんな風に感じる方もいらっしゃるでしょう。実は、通常のおならは無臭 であるか、わずかに硫黄のニオイがするくらいです。一方、臭いニオイの 場合は、悪玉菌が増え過ぎていてガスの種類が通常とは異なっています。

まず、通常のおならについてご説明します。先ほどもご説明した通り、腸 内細菌のうち善玉菌や悪さをしない種類の菌は、炭水化物を利用して二酸 化炭素や水素を作り出しています。この場合は、ほとんどニオイのしない 無臭のガスであるため、周りに不快な思いをさせることはありません。

また、わずかに硫黄のニオイがするおならが出る場合があります。これ は、野菜の種類に関係しています。キャベツやブロッコリー、カリフラワ ーやケールといったアブラナ科の野菜には、元々硫黄が含まれています。 この硫黄化合物はスルフォラファンと呼ばれ、抗酸化物質としても知られ ています。また、ゴマも硫黄化合物を含んでいます。

こうした硫黄化合物を含む食材を口にすると、「アーキア」という種類の 腸内細菌が働いて、硫黄のニオイのするガスを作り出します。もちろん、 この種類のガスは体に無害ですし、むしろ微生物の働きで体に有益な作用 を与えてくれます。

一方、臭いおならが出る場合は、悪玉菌が未分解の「タンパク質」を分解 している証拠です。(善玉菌もタンパク質を分解しますが、悪玉菌の作用 とは異なります。)例えば、お肉を食べ過ぎた時、悪玉菌が働いてアンモ ニアや硫化水素、インドール、スカトール、揮発性アミンなどのガスを作 り出します。この種類のガスは、キツく臭いニオイのために、おなら自体 も臭くなってしまうのです。

過剰に発生したアンモニアや硫化水素などのガスは、交感神経を刺激して 精神にも影響を与えます。また、活性酸素も発生して腸粘膜を傷つけてし まいます。また、腸の免疫力を抑制してしまうため、さまざまな病気の原 因となる可能性があります。つまり、おならが出ること自体が悪いのでは なく、おならの種類に気をつけることが大切なのです。

おならを上手にコントロールして快適生活を!


さて、それでは無臭ならばどれだけガスが出ても良いのでしょうか? ガス、つまりおならが出ること自体は、腸内細菌の活発度を知る上で大切 なことです。でも、他人よりも異常に回数が多い、どうしても気になって 困るという場合は、そのガスの量は違う原因によるものかもしれません。
腸内に発生するガスは以下の3つが出所です。
・腸内細菌が食物を分解したときに出るガス
・口から飲み込んだ空気
・炭酸飲料


腸内細菌が作り出すガスについては、これまでにご説明いたしました。し かし、ガスが出る原因はそれだけではありません。私たちが日常的に吸い 込んでいる空気も、実はガスの出所になります。

でも、人間は酸素がないと生きていくことはできません。そのため、呼吸 は必ず必要です。空気が胃腸に取り込まれるのは、食べ物を口から摂取し て飲み込む際に一緒に胃の中に入るからです。この際に、空気を飲み込み すぎると胃腸にガスが溜まってしまう原因になります。

そのため、おならが出過ぎてしまう、気になるという人は、食事をする際 によく噛むことをおすすめします。食べ物をよく噛むと、唾液と食物が混 ぜ合わさりガス抜きと同じ効果を発揮します。早食いの人におならが多い 理由は、食べ物だけでなく同時に多くの空気を飲み込んでいるからです。 また、炭酸飲料の飲み過ぎも、お腹にガスが入り込む原因になるため要注 意です。

また、姿勢が悪いこともガスの発生につながります。姿勢が悪いと肺に入 るガスの交換効率が悪くなるため、血中の二酸化炭素量が多くなり、腸内 にガスがたまりやすくなってしまいます。日頃から姿勢を正し、スムーズ な呼吸を心がけましょう。

そして、気になるのが臭いニオイのおなら。これはご説明した通り悪玉菌 による腐敗ガスが原因です。そのため、悪玉菌を減らして善玉菌を増やす ことが大切です。善玉菌を増やすには、まず乳酸菌を摂取することがおす すめです。さらには、お腹に元々住んでいる善玉菌を増やすことも欠かせ ません。良い種類のガスを発生させるために、オリゴ糖や食物繊維を積極 的に摂取しましょう。食事としては、発酵食品の積極的な摂取が腸内細菌 を整える近道です。

また、最近はお茶やニンジンの葉が「消臭食物」として知られています。 お茶に含まれるカテキンは、消臭効果のあるポリフェノールとして有効で す。また、ニンジンの葉は古来ニオイを減少させる食材として有名だそう です。他にも、マッシュルームやパセリなども、ニオイを抑制する効果が 期待されています。

おならは健康を維持する上で大切な浄化作用ということを理解した上で、 単に抑えるのではなく上手に出すことを心がけ、日常生活の中でよいガス と付き合っていきましょう。