第41回 『スポーツと栄養について講演会を開催しました!』| オーエム・エックス博士の知恵袋


こんにちは!
いつも弊社のメルマガを読んでいただき、ありがとうございます。
オーエム・エックスの社長 高畑宗明(農学博士)です。

2014年6月になりました。私にとって今年のビッグイベントは、なんと
いっても「サッカーW杯」です。私は小学校の頃からサッカーをしてい
るため、4年に一度のワールドカップを毎回心待ちにしてきました。幼少
の頃にはワールドカップに日本が出場できるとは思ってもいませんでし
た。でも、今では5大会連続の出場を果たし、海外に行った際にも「日本
は強くなったね」と言われることを嬉しく感じています。

さて、今回は「スポーツと栄養」についてお届けします。5月24日に大
阪にて「大事な試合前の食事」というタイトルの講演会を行いました。ス
ポーツをしている小中学生のお子さまがいらっしゃる親御さんを対象に、
約1時間に渡ってお話をさせていただきました。今回は、その講演の内容
をもとに、スポーツと食事の関係性、そして腸ケアの大切さについてお話
させていただきます。

=================================
 第41回 『スポーツと栄養について講演会を開催しました!』 
=================================


 あなたの体はあなたが食べたもので作られる


メルマガ読者のみなさまは、今日の朝ご飯に何を召し上がりましたか?
私の今日の朝ご飯は、「ご飯、納豆、焼き鮭、卵焼き、野菜入りのお味噌
汁」でした。朝食を食べる際に、気をつけていることは、やはり「バラン
ス食」です。

私たちの体は、様々な栄養素を材料にして作られています。このうち「5
大栄養素」として、「たんぱく質」「脂質」「炭水化物(糖質)」「ビタ
ミン」「ミネラル」が知られています。また、食物繊維も大切な食事成分
です。このうち、どれが欠けても私たちは体を動かしたり、エネルギーを
作り出したりすることができなくなってしまうのです。

<タンパク質>肉、魚、卵、豆類に多く含まれ、肌や髪、爪を作り出すた
めに必要です。また、免疫力にも欠かせません。
<脂質>過度な動物性脂質は体に害となりますが、ナッツやきなこ、植物
性油脂、青魚に含まれる良質な油脂は必要不可欠です。ホルモンや細胞の
成分となり、炎症抑制作用があります。
<糖質>ご飯、めん類、パンに含まれ、運動時のエネルギー源になりま
す。持久力、瞬発力の両方に大切で、脳の栄養にもなります。
<食物繊維>野菜やキノコに多く含まれ、お腹の調子を整えたり、解毒作
用をしてくれたりします。
<ビタミン・ミネラル>海藻や果物などに含まれます。体の酵素を動かす
ために欠かせません。血液や歯といった直接体の成分になる場合もありま
す。

実は、今のあなたの体は、生まれてから死ぬまで同じ細胞が維持されてい
るわけではありません。肌は約28日周期でターンオーバーし、心臓は約
22日で細胞が入れ替わります。筋肉や肝臓、骨も2~3ヶ月で入れ替わ
り、腸の細胞に至っては、なんと5日で交換されます。このように、私た
ちの体は3ヶ月で生まれ変わっているのです。

「You Are What You Eat ~私たちの体は私たちが食べたもので作られてい
る」という言葉がありますが、まさにその通りです。今食べた物が自分の
体を作り、健康を支えていることを理解することが、スポーツの前に理解
しておくべきことなのです。


 種目・タイミング別の食事ケアポイント


では、実際にスポーツを行う際に気を付けるべき食事や栄養についてみて
いきましょう。もちろん、食事のベースになる「バランス食」は前提条件
です。その中で、スポーツの種類ごとに必要な内容を織り交ぜていくこと
が大切です。

スポーツは、大きく分けて3つのカテゴリーに分類されます。まず、長距
離を競う「持久力系スポーツ」です。そして、瞬発的な力を競う「瞬発系
スポーツ」。最後に、持久力系と瞬発系が組合わさった「混合系スポー
ツ」です。では、それぞれに必要な栄養やタイミングについて、まとめて
みます。(スポーツでは炭水化物のうち糖質が重要なため、「糖質」の表
記で統一しています)

<持久力系スポーツ>
・競技内容:陸上長距離、スケート長距離、水泳長距離など
・ポイント
→エネルギーの主原料となる糖質が大切です。ご飯やめん類などの主食を
しっかり摂りましょう。また、エネルギーを作る助けとなるビタミンB
群が欠かせません。豚肉、ウナギ、レバー、鮭、ごまなどに多く含まれま
す。貧血が増えるため、鉄の摂取も大切で、鉄の吸収を上げるためにビタ
ミンCもおすすめです。

<瞬発系スポーツ>
・競技内容:陸上短距離、柔道、レスリング、体操など
・ポイント
→筋肉量を増やすためのたんぱく質と筋力トレーニングが大切です。マグ
ロ、ウナギ、鶏ささみ、牛肉、豚肉、納豆、卵などがおすすめです。ま
た、筋肉組織の合成を高めるため、練習や試合の後、なるべく早いタイミ
ングでの摂取がのぞまれます。筋肉増加の効果を高めるために、糖質も必
要です。エネルギー源を摂取しなければ体のたんぱく質が分解されてしま
い、筋肉も分解されてしまいます。

<混合系スポーツ>
・競技内容:サッカー、バスケ、野球、バレー、テニス、卓球など
・ポイント
→瞬発力や筋肉を必要とするプレーとスタミナを必要とする動きが共存す
るため、糖質+ビタミンB群とたんぱく質の両方の摂取が必要です。ま
た、試合前におにぎりやサンドイッチなどで糖質をしっかりと補給して、
筋肉中のグリコーゲン貯蔵量を増やしておくと、スタミナが持続します。
接触プレーに耐えるために、カルシウムやビタミンCの多い食材を摂り
ましょう。

成長期のスポーツ選手には、貧血が多く見られます。成長期には体内の血
液量が増えますが、鉄の摂取が追いつかなければ赤血球が不足して酸素が
体に行き渡らなくなります。また、約30年前と比較すると、骨折も2~3
倍に増加しています。成長期に合わせた栄養素の摂取も、きちんと心がけ
ることが重要です。


 スポーツをする上での腸ケアの大切さを理解しよう


このメルマガ読者のみなさまはご存知の通り、腸は全身の健康状態と深く
関係しています。肥満やアレルギー、便秘、肌荒れ、大腸がんだけでな
く、近年では脳にまで影響を与えていることが分かってきました。

スポーツは上手に活用すると、私たちの健康にとても良い効果をもたらし
てくれます。例えば、脳の活性化や生活習慣病の予防、骨粗しょう症予
防、ストレス解消、ダイエット効果、冷え性の予防などが挙げられます。
このように、日常的なスポーツや運動は、子供の成長においてのみなら
ず、健康長寿の面でも欠かせません。

一方で、近年では研究が進むに連れて、過度なスポーツは腸に障害をもた
らしていることが明らかになってきました。私たちは生きるために酸素を
体に取り込んで暮らしています。運動時(特に有酸素運動の際)にはより
多くの酸素を必要としますが、酸素の取り込み量が大量になるような負荷
の高い運動の場合、修復のために心臓や筋肉に酸素を運ぶ血液が集中しま
す。この時、実は腸の中に血液が不足する事態になってしまうのです。

このように腸に血液が不足してしまうと、めまいや嘔吐、吐き気などにつ
ながってしまいます。また、腸の細胞が荒れてしまい、細胞同士の結びつ
きやバリア機能が弱まってしまうため、栄養吸収阻害や免疫力の低下、ア
レルギー反応が起こりやすくなるのです。

スポーツだけでなく、日常の食事についても、腸は栄養吸収や健康の土台
となる場所です。どんなに素晴らしい食材を口にしても、腸が整っていな
ければ、うまく吸収して体を作ることができません。腸のケアを大切にし
て、そしてバランスの取れた食生活を行った上で、スポーツごとの最適な
栄養摂取やタイミングに取り組んでいきましょう。